圧縮が実際にやっていること
非可逆の画像形式は、要するに非常に優秀な推測装置です。画像を見て、気づかれずに 捨てられる部分を割り出します。隣とほとんど同じ緑の階調、目が追えないほど細かい 質感。ものの形は残し、もともと惜しくならない部分を捨てるわけです。
この取引は写真に対しては見事に働きます。写真は誰も細かく検分しない細部で 埋まっているからです。ところが画像がロゴになると、働く余地がほとんどありません。 ベタ塗りが数色と、はっきりした輪郭だけ。取り除ける「気づかれない細部」がなく、 しかも輪郭こそ、なまったら気づいてしまうものです。
2 種類の画像、正反対の結果
このサイトの変換ツールに 2 つのファイルを同じ設定で通し、結果を実測しました。
1600×1200 の写真は 501 KB から 29 KB へ、およそ 94% 減。 透明部分のある小さなベタ塗りグラフィックは 1.8 KB から 2.7 KB へ。 同じツール、同じ品質設定で、向きが逆になりました。
これは差の大まかな形として受け取ってください。計画の土台にする数字ではありません。 比率は画像の中身でかなり動きます。細部の多い風景と平坦なスタジオ写真では圧縮の され方が違いますし、お手元のファイルも同じです。当てにできるのは向きだけです。 写真は下へ、ベタ塗りはしばしば上へ。
理由は「推測」にあります。ベタ塗りは、説明としてすでにほぼ最短の形です。 「この長方形は全部同じ緑」は、どの形式でも短い一文で済みます。新しい形式の賢さは 噛みつく先がなく、それでも画像の周りに自前のヘッダーや構造を書かなければなりません。 大きな写真ならその固定分は削減量の中に消えます。小さなグラフィックには、消える先の 削減量がないのです。
小さいファイルは得るものが少なく、失うものが多い
だからこそ、この現象はいちばん予想しにくい画像で出ます。アイコン、エラー表示の スクリーンショット、表計算から書き出したグラフ。もともと小さいので容器の固定分が 全体に占める割合が実際に大きく、しかも平坦なので圧縮して減らす対象がありません。
もうひとつ知っておく価値のある理由があります。元が PNG だったなら、それは 可逆でした。描かれたとおりの画素がそのまま入っています。それを非可逆の 形式に変換すると、大きくなる恐れがあるだけでなく、情報が恒久的に失われます。 はっきりした輪郭では、線のまわりにうっすらとにじみが出る形で現れます。容量と画質の 両方で損をしうるわけで、これはサイズがどちらに転んでも割の悪い取引です。
どうすればよいか
まず 1 枚だけ変換して、返ってきたものを見てください。やり方はそれだけで、 10 秒ほどで済みます。ここの変換ツールは生成したファイルのサイズを表示するので、 フォルダーごと任せる前に比べられます。
大きくなったなら、元のファイルを残してください。そうして失うものはありません。 その画像には、もともと持っていた形式のほうが適していたということです。 くっきりしたまま保ちたいベタ塗りの図版なら、行き先は非可逆の形式ではなく PNG が適しています。まさにこの種の画像のために作られていて、 しかも可逆です。
そして変換する対象が写真であれば、ここまでの話が問題になることはありません。 新しい形式が設計上の狙いとしていたのがまさにその場合で、圧倒的な差で有利になる 場面です。